2005-06-14

GOOD-BYE,HOLLYWOOD:046 このバカ息子が、勘当だ!

「だが、ルパン一世は烈火のごとく怒ったんじゃねェか」
「ルパン帝国の野望もほっぽり出して、
映画と女に道楽三昧じゃ爺様も怒るわな。
しかも映画のアクション場面にゃ、ルパン流体術の秘技が盛り込まれてるわ、
パリの室内場面には、隠れ家がバッチリ写ってるわだもんな」
今でこそどうということないが、当時は帝国の存亡に関わる大問題だったのだろう。

「そこで爺様は側近の部下に極秘裏にフィルムの始末を命じ、
親父に勘当を言い渡した。
ま、帝国の長として、それなりのしめしを見せたんだな」

「で、お主の父上、母上はいかがされた」
「そこんとこは、俺もよくわからねェんだ。
いずれ爺様の勘当は解けたらしいんだが、
パリを離れた二人の行方についちゃ何の記録もないもんでな」

外の騒ぎもようやく鎮火しつつあるようだった。
爆発音の代わりにプロデューサー・アッシュフォードが
スピーカーを通じて指揮を執るのが聞こえてくる。

2005-06-14

GOOD-BYE,HOLLYWOOD:045 野望より大切なこと

「で、成功したのか、親父さんは」
「いや失敗だった。
親父は、アメリカ進出の作戦を練るうち、
ふたつのことに有頂天になっちまった。
ひとつは映画、もうひとつが女だった」
「ふむ、その女子とはおぬしの母上だな」
「まあ、そうらしいな。
もっとも俺もおふくろの姿を見るのは、
このフィルムが初めてだけどな」

「その頃映画はトーキーになって大人気だった。
親父は映画に魅せられ虜になった。
ルパン帝国なんてそっちのけで映画を楽しみ、
遂にはオフクロ共々、映画出演をすることを決めちまった」

「そんな時、このグローバル映画会社のロケ隊がパリへやって来た。
で、親父はこれに出演することにした」
「ンなこと言ったって俳優でもないのにか?」
ルパンの親父のような素人がハンフリー・ボガードなどと
同様に銀幕を飾っていたことに驚く次元。

「そうだ。親父は、言葉巧みに映画のスタッフを誘導し、
或いはルパン帝国の手下共を使って、
丸々一本自分とオフクロの主演映画を撮りあげちまった。
まあ、映画を一本盗んじまったってわけだ」
「なるほど。そうして出来たのが『さらば愛しきパリ』オリジナル版ってことか」
抗議はしたが、さっき見せられたフィルムを思い出し次元も納得する。

「まあ、パリのロケだけじゃなく、このグローバル撮影所での撮影もあったけどな」

2005-06-14

GOOD-BYE,HOLLYWOOD:044 後継者としての腕試し

いよいよこの話の核心です。
このパラグラフは挿絵込みで8ページも割いてる。

「俺の爺様アルセーヌ・ルパンが作った地下組織は、
1930年代の初め頃にゃ、全ヨーロッパの暗黒街を仕切れるほどの勢力になってたそうだ」
第一次大戦や、ロシア革命の動乱の尻馬にうまく乗ったようだ。

「で、爺様の次なる狙いは、もちろんのことアメリカ合衆国だった」
「あの頃、この国を牛耳ろうとしてたイタ公どもには、
大いにファイトを燃やしてたんだとさ。
それに、この世界最大の成り上り国家には、
ヨーロッパ人誰もが刺激を受けてたしな」
次元が鼻を鳴らす。

「このアメリカ進出の指揮をアルセーヌ爺ちゃんは、
息子つまり俺の親父に任せたんだな。
その頃、親父はまだ二十歳そこそこだったが、
まあ、これが地下帝国の後継者としての腕試しになったわけだ」

2005-06-14

GOOD-BYE,HOLLYWOOD:043 やりすぎだぞ、お主

「一体、こりゃどういうことなんで……」
前に座っていた次元が振り向きルパンに説明を求める。

「あわてなさんな」
今まで、ぼやかしてきた今回のハリウッド行きの目的を
伝える決意をするルパン。

まずルパンは映写機のリールからフィルムを外す。
倉庫内の護衛は片付けたし、
外では燃え盛る大坂城のプラモデルをまだ相手にしている頃だろう。
倉庫の外壁を通じて、今も爆発音が轟く。

「しかし、ルパン」
「あの大坂城、ちとやりすぎだぞ、お主」
五右衛門は不二子に炊きつけられて関わり始めた割に
『ザ・リベンジ・オブ・ニンジャ』への思い入れがことのほか強くなっているようだ。

最大のセット大坂城が燃えたのでは、この映画はおジャンになるだろう。
それがお気に召さないご様子だ。

「まァ、そう言うなって五右衛門『先生』」
「ルパンの仕掛けた爆薬は、最初の方は音と光だけデッケェ威かく用だ。
あれで逃げてりゃ、スタッフには怪我人はいねェよ」
次元が助け舟を出す。

そんな訳で外の騒ぎが収まるまで倉庫脱出には
しばし猶予がある。

映写室の席に座りなおすとルパンは話を始めた。

2005-06-14

GOOD-BYE,HOLLYWOOD:042 ルパン帝国のドロップアウト組

あわててプロジェクターにとりつくルパン。
「どうしたってんだ、次元?」
「あれを見ろ!!」
そこには三人の十代くらいのチンピラどもが映っている。

「右はじの、気の弱そうなヤセっぽちは、カールゼンじゃねえか?」
「その隣りのデブは、アッシュフォードのようだな」
「ああ、そしてその隣りの、見るからにケンカっ早そうな奴はマードック。
アボットとコステロの親父だよ」
「驚いたな」
「驚くには及ばねえよ」
講釈を続けるルパン。
「奴らは全員、親父と爺様が築きあげた
世界最初にして最大の暗黒街シンジケート"ルパン帝国"のドロップアウト組なんだからな」

2005-06-14

GOOD-BYE,HOLLYWOOD:041 パリ祭

スクリーンに映っているのは、パリ祭(革命記念日)のパレード。
行進する三色旗を見物する沿道の人々をカメラがパンする。
劇場版ではカットされているシーンだ。

「ここからだ……」
ルパンはフィルムを止める。

「俺が見たかったのは、このシーンなんだ」
ルパンは目頭が熱くなり、スクリーンを見ることが叶わなくなる。

「次元、何が見える? 教えてくれ」
「若い男と女……。
1930年代ファッションの、美男美女のカップルだが……」

「ルパン!!」
五右衛門が気付いたようだ。
「この若い男、おぬしに瓜ふたつだ!!」
「そうとも……」
ルパンの応えは短い。
「俺の親父とおふくろだからな」

「なるほど……」
五右衛門が嘆息を漏らす。
「ルパン、おぬしを少し見直したぞ」

「不二子に似ているな……。おふくろさん」
次元がボソリとつぶやく。
「二人ともえらく若いぞ……いくつだ」
「親父は二十一かニ。おふくろはまだ十代のはずだ」
「あまり止めっぱなしで見ていると、フィルムが痛んじまうぜ、ルパン」
「ああ……そうだな」
ルパンは若き両親の姿を充分に眼に収めるとポーズを解除する。

再び、スクリーンはパレード見物の観客の声に包まれる。

「止めろルパン!!」
出し抜けに叫ぶ次元。

2005-06-14

GOOD-BYE,HOLLYWOOD:040 『さらば愛しきパリ』上映開始

通路を先に行くと映写室に行き当たる。

「どうやらここが行き止まりらしいな」
一息つくルパン。
「幸い屋内の敵は全部片付いたようだ。
さあて、どうやって撮影所から逃げ出すかを考えるとするか……」

「その前にルパン。そのフィルムを見せてくれ」
と五右衛門。
「なぜおぬしがそうもフィルムにこだわるのか、
その理由を知りたい」
「いいだろう。おあつらえ向きにここは映写室だしな……」
ルパンはフィルムをプロジェクターにかける。

『さらば愛しきパリ』は1935年度に製作された、グローバル・ムービーの第一作だ。
「ところが、この映画の完全オリジナル版は、なぜか一度も公開されていないんだ」

スクリーンの中ではモノクロ映画が流れ続ける。

「これほど有名な作品でありながら、
上映されているのはすべてカットだらけの短縮版ばかりだ。
俺が盗み出したのは、そのオリジナル版ってわけ」
「まさかルパン、それだけが目的ってわけじゃあるまいな」
「よせやい次元。俺をそこいらのコレクターと一緒にするなよ……」

「俺が見たかったのは、ズバリ、カットされていたこのシーンなんだ」
ルパンをスクリーンを指す。
「これは……」
次元と五右衛門が叫ぶ。

2005-06-14

GOOD-BYE,HOLLYWOOD:039 どっちの助っ人ショー

情報ポイント判定発生。
5以上と4以下。
情報ポイント7なので5以上コース。

右側の扉を開け、中に入るルパン一行。
すぐさま扉を閉め、鍵をかけ、傍にあった木箱でバリケードを築く。
扉の向こうは人が集まってきているような騒ぎが起きている。

「さてと……」
振り向いたルパンは固まってしまう。

黒光りする鎧に身をまとう身の丈2mを優に超す巨漢がそこにいた。
「フィルムをよごぜ〜〜ッ」
「しからば命だげは助げでやる〜〜ゥ」

ワルサーをぶっ放すが、9ミリ・パラベラムの弾丸は鎧に弾かれる。
「無駄だ〜〜」
「この超合金製の鎧に、そんな物は通用しない!!」

五右衛門か次元に任せた方がいい。
どっちに頼むべきか。

ここは次元にあの新しい銃を使ってもらおう。
「次元、まかせる!!」
「おうっ!!」

「そりゃあ!!」
銃声と共に次元の両腕が、反動で跳ね上げられる。

大男の額に大きな風穴が開くと、崩れるように倒れる。

2005-06-14

GOOD-BYE,HOLLYWOOD:038 撮りも撮ったり半世紀

中に入ると、フィルムを入れたカンがフロアに山積みだ。
この中から一本のフィルムを見つけ出さなければならない。

レイダースのラストシーンの倉庫から聖櫃見つけるようなものか。

「撮りも撮ったり半世紀か……」
次元がつぶやく。


「えーと、これでもないこれでもない」
捜索は困難を極める。
ここまでの苦労は山のような数万本にものぼるフィルムから
一本を捜すことに比べたら前菜に過ぎなかったようだ。

「あった!!」
ルパンと次元が同時に叫ぶ。

「1935年度版グローバル・ムービー作品、テスト撮影作品、
『さらば愛しきパリ』完全版。これだ!!」

フィルムはガラス張りの保存ケースに鎮座ましましていた。
フィルムケースはブリキではなく銀メッキである。
幻の第一作だけあって扱いが他のフィルムとは違うわけだ。

「やったね!!」
ガラスケースを開け、フィルムケースを取り出すルパン。
「キャッホ〜〜!!」
そう叫び、フィルムを腕に抱いたとき警報が鳴る。

2005-06-14

GOOD-BYE,HOLLYWOOD:037 フィルム泥棒への罠

通路はやがて分岐になるが右手の通路が、
暗く空気もほのかにひんやりしているのでそちらに向かう。

気温は約10度といったところ。
上着を着ていても少し肌寒いほどだ。

やがて『フィルム保存庫』と書かれている扉に行き着く。
"関係者以外立入禁止"の表示も見える。
ここに目的のフィルムもあるはず。先に進むルパン。

急に通路の足元が割れる。
「あれ〜〜っ!!」
落とし穴だ。5mほどの穴に落下するルパン。
串刺しにならないのがせめてもの慰めか。

壁をよじ登ろうとして周囲の空気の臭いがおかしいのに気付くルパン。
穴の中は致死性のガスで充たされていたのだ。

少し吸い込んだせいで頭が朦朧としてくるルパン。

そこへ天の助けか、白いロープが降りてくる。
無我夢中でひしっと掴まるルパン。
ゆるゆると引き上げられていく。

「ルパン、しっかりしろ!! この野郎」
頬を叩かれるルパン。
「世話ァやかせやがって」

「よう次元、うまくいったようだな」
「ヘッ、おめえのことが心配になって来てみりゃあこのザマよ。
しまらねぇ野郎だ」
ふと気付くと傍らに五右衛門もいる。

「義によって助太刀かい?」
「助かるぜ」
「違う。拙者も、そのフィルムとやらが見てみたくなっただけだ」
五右衛門はニヤリと笑う。
「おぬしが命懸けで捜すほどのフィルムとは、どのようなものなのかな……」

「テャーッ!!」
斬鉄剣が一閃すると保存庫の扉は円く切り抜かれる。

2005-06-14

龍の山の神殿

mixiで「龍の山の神殿」という600パラグラフの作品が公開されているらしい
posted by うにーく at 07:52 | ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | オンラインゲームブックリンク

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