2005-06-18

902-1 BTTF:005 素敵な家族

食卓につくマーティ。
父のジョージ、兄のデイブ、姉のリンダが座っている。

父はコーンフレークを食べながらテレビの再放送に見入っている。
兄はこれから出勤のハンバーガー・ショップの制服を着て食事を取っている。
姉もまただらしない格好で食事をつついている。

母親のロレインがケーキを持って台所から現れる。
アメリカ人にありがちな肥満体型であり、
おせじにも魅力的とは言いがたい。
「またケーキがむだになってしまったわ。
今度こそ出てこれると思ったのにねえ」

ケーキには『お帰りなさい、ジョーイおじさん』の文字。
刑務所から仮釈放される予定だったが取り消しになってしまったのだ。

「ジェニファーから電話があったわよ」
思い出したように姉が告げる。
また余計なことをとマーティは顔をしかめる。

「女のほうから男に電話をかけるなんて、
なんてふしだらなことをするのかしら。
わたしの若い頃は、女の子が男の子を追いかけまわしたり、
女の子のほうから電話をかけるようなことは絶対にしなかったものよ。
それに……」
母がいつもの調子で一席ぶる。
三十年前の無味乾燥な学園生活を送らずにすんだことを
感謝せざるを得ないマーティだ。

「それじゃあ、どうやって男と女が知りあうことができるの?」
姉が混ぜっ返す。
「偶然よ。神のご意思って言ったほうがいいかしら。
わたしとあなたたちのおとうさんが知りあった時のようにね。
おじいさんが車でおとうさんをはねたのよ。
その時おとうさんを看病したのがわたしだったの」
またこの話だ。うんざりするマーティ。

「でも、どうしておとうさんは木の上から道のまん中に落ちてきたりしたの?
わたし、前から不思議に思っていたのよ」
姉が尋ねる。
「バード・ウォッチングをしていたのよね、ジョージ?」
相槌を父に求めるが、我関せずといった風情でテレビを見ている。
まるで話なんか聞いてはいないのだ。

「とにかく、看病しているうちにこの人だって思ったの。
一目惚れだったわ。おとうさんもそうだったんだと思うわ。
その次の週末のダンス・パーティーにわたしをさそってくれたの。
そのパーティーでわたしはおとうさんとファースト・キスをしたのよ。
キスをした瞬間、ああ、わたしはこの人と一緒になるんだと確信を得たのよ。
そう、確かその日は……」
母は遠き日の少女に戻ったかのようにうっとりと話を続ける。

きりがない。食事を終えると二階の自室に戻るマーティ。
しかし男性は誰一人として一言も食卓で言葉を発しませんでしたな。

ドクとの約束の時間までベッドに転がり、今日起こったことについて考え始めた。

ジェニファーに明日は中止だって連絡しとけよ。
電話までもらってるくせに。
まあ、うまくいったら中止にならなくて済むからご都合主義だけど仕方ないか。
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